2014年1月から新たに導入される「少額投資非課税制度」は、日本版NISAということで愛称は「NISA(ニーサ)」になりました。NISAは年間百万円までの上場株式、株式投信などへの投資であれば、受け取る配当金、分配金、譲渡益が5年間、非課税になる制度です。しかし、その年の非課税枠が余ったとしても、翌年に繰り越せません。国内に居住し、来年1月1日時点で20歳以上の人ならば誰でも利用できますが新たにNISA専用の口座を開設することが必要です。
日本において、個人金融資産の半分以上は「預貯金」といわれています。「貯蓄から投資へ」の流れを後押しするために導入されるのがNISAです。
この口座手続きが10月から始まっていますが実際に取引ができるのは来年1月から。年間百万円までの新規投資が対象。利点は大きいが注意点も。NISAを利用できるのは、一つの金融機関で一人一口座、当初4年間は金融機関の変更ができない、短期売買には不向きなどなど。
株式投資信託の種類など品ぞろえは金融機関ごとに異なります。
証券会社の口座では株や株式投信などが購入できるのに対して、銀行の口座では個別企業の株を買うことはできません。
上場株式などへの新規投資で得る配当は、NISA口座以外で受け取ると20%課税、NISA口座で受け取る分のみが、非課税です。
毎年百万円を上限に、5年間で最大500万円の投資分が非課税になります。投資した商品の売却はいつでも可能ですが、売却分の非課税枠は再利用できません。
現在各地でNISAのセミナーが開かれていますが、聞き終えて、
「使い方を間違うと、戻ってくるはずのお金が戻ってこなくなる」
「損をすると面倒。できるだけ損しづらい商品を選んで」
「お金は増やしたいが、絶対に減らしたくない。これまで以上に慎重になりたい」
という声が多いようです。
株式の売買益や配当金などに対する税率は、証券優遇税制の終了に伴い、来年1月からは20%に戻ります(現行10%)。新たに設けられたNISAを上手に利用できれば、節約効果は大きいのではないでしょうか。ただ、以前のマル優のように、預貯金や債券は対象ではありません。
特に注意したいのが、損失が出た場合。
NISA口座で損が生じても、特定口座などの課税口座で出た利益と合算する「損益通算」はできません。3年間の損失の繰り返し控除もできず、課税口座なら還付されるはずの税金が戻ってきません。
ある専門家は、「損が出たら全く意味がない。損を出しちゃいけない、というプレッシャーのある口座。初心者はとりあえず開く必要がない」とまで話しています。
こうしたことから、NISAには、比較的値動きの安定した株や投信が向いているのかもしれません。とにかく、前もって色々な可能性を予測して、専門家のアドバイスも取り入れて対応を決めておかないと、“その時”に慌てることになりかねません。
これら制約に対し、来年以降に一部改正案も浮上しています。
使い勝手がよくなることを期待しつつ、現状の留意点を押さえて上手に活用したいものです。