祖父母から孫に教育資金を一括して贈与する場合、孫一当たり1500万円を上限に贈与税を非課税にする。今年4月~15年末に贈与された資金が対象。入学金や授業料など学校への支払いのほか、塾や習い事の費用も1500万円の範囲内で最大500万円まで非課税となる。贈与を受けた孫が満30歳になった時点で使い切れなかった資金があれば課税される。

 新聞・雑誌等の記事を少しまとめて見ました。この非課税制度が4月に始まったのを受け、県内の金融機関が顧客獲得を狙った商品を投入しています。資産を有効活用したい高齢者の富裕層との接点をつかみ、資産運用などのニーズ開拓や孫世代の囲い込みにつなげたい考えからだと思われます。

  北陸銀行が取り扱いを開始した教育資金贈与専用口座「孫への贈り物」。贈与を受けた孫は、口座に教育目的の資金を入金する。学費などを支払った領収書を北陸銀行に提出し、資金を口座から引き出す仕組み。

 10月からは三菱UFJ信託銀と提携し、郵送のみで同銀行の教育資金贈与信託商品を利用できるサービスを開始。これは、北陸銀行の支店がない地域に、孫が生活する顧客に対応したのではないでしょうか。北陸銀行福井支店は「北陸地方は教育熱心な土地柄でもあり、口座開設以降、かなり反応があり、富裕層との取引を機に、孫世代の住宅、教育ローンなどに発展させていきたい」と。

 福井銀行は、専用口座を管理するシステム整備に時間やコストがかかると判断して、自前の専用口座は持たず、10月から三菱UFJ信託銀行への取り次ぎを行っています。同行の個人営業部の話では、顧客を紹介しても同行から手数料は入らないが「富裕層と関係を深め、保険商品など、さまざまなセールス展開ができるメリットがある」と。

 2015年1月から適用される税制改正では、相続税の基礎控除額が現在の6割に縮小。 増税となるため、県内の金融機関の関係者は「制度を活用して今のうちに孫に資金を残したいと考える顧客が増えることも考えられる」と予想しています。

 県内の金融機関の間では、祖父母世代の金融資産が、相続を機に子や孫が住む都市部の金融機関などに移ることを懸念する声も聞かれます。教育資金贈与の専用口座は資金の受け取り手一人につき1口座に限られるため、各金融機関による顧客の囲い込みが激化する可能性もあります。
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