正式には電子記録債権制度といます。この制度は2008年12月、中小企業など事業者の資金調達の円滑化を図るために創設された制度であり、これまで手形の事務手続きや印紙税、保管・搬送等に悩まされてきた事業者や、支払手段を一本化して資金を効率化させたい、あるいは売掛債権を有効に活用したい事業者にとっては、これらを解決する新たな手段として期待されています。
2010年度の統計では、企業が保有する受取手形の残高が約12兆円、同売掛金が約8倍の約182兆円であることからも、電子債権の将来的な可能性は非常に大きいものがあると言われています。
全国銀行協会も電子債権記録期間「でんさいネット」を設立しました。
「でんさいネット」の「でんさい」を取り扱う金融機関は、全銀協の正会員銀行に加え、全国の信用金庫、信用組合、農漁協系統金融機関、商工中金など、中小企業金融の狙い手である全国1,300の金融機関となる見込みであり、事業所の皆様は、近くの参加金融機関で「でんさい」を利用することができます。
先日の日経にも「電子債権の利用15万社超が登録!」という記事が載っていました。 手形に代わる電子債権の利用が広がっていて、「でんさいネット」の利用登録は、2月18日開業から2ヶ月間で15万社を超え、発生した電子債権は172億円で想定の2倍程度の規模だそうです。電子債権を使った支払いも累計1,200件に達した。中小企業の利用が多く、電子債権を受け取った企業が金融機関に譲渡して現金化したり、一部を分割したりする使い方も出てきているそうです。電子債権は手形に比べてコストがかからない決済手段。利用するには、全国491の金融機関を結ぶ「でんさい」などの記録機関に登録する必要があります。電子債権を受け取った企業は簡単な手続きで現金に交換できるため、中小企業の資金繰りの支援にもつながるのではないでしょうか。
支払企業(債務者)のメリットは…
①「でんさい」を使えば、手形の発行、振込の準備など、支払に関する面倒な事務負担が軽減されます。
②手形の搬送コストも削減されます。手形と異なり、印紙税は課税されません。
③手形、振込一括決済など複数の支払手段を一本化することも可能となり、効率化が図れる。
納入企業(債権者)のメリットは…
①紛失や盗難の心配はなくなります。厳重に保管、管理する必要がなくなりますので、無駄な管理コストを削減することができます。
②必要な分だけ分別して譲渡や割引をすることができます。手形にはない、「でんさい」特有の大きなメリットです。
③支払期日に、自動的に口座に入金され、面倒な取立手続きは不要です。
「でんさい」は流通性の高い債権です。「でんさい」であれば、これまで資金繰りのために利用できなかった債権も、譲渡や割引などが可能になり、無駄なく有効に活用することができます。
尚、手数料の問題もありますので、登録等詳細については各金融機関の窓口へ。