先日、ある取引先でデフレの話から価格の下げ止まりがきかず困っているという話を聞きました。
 デフレとは、一言で説明すれば、物価がどんどん下がっていく経済状況。逆にインフレとは、モノやサービスの価格が上がっていく状況です。ですから、今の日本はデフレ状況であるといえます。従って、デフレは景気の低迷を伴うのが一般的です。
 では、デフレはなぜ物価がどんどん下がっていくのかと言うと、不景気により消費者の財布のヒモが固くなり、売っている商品に対して買う顧客が少なくなります(供給過多)。 そうすると、店側が考えることとして、「最近ものが売れないなぁ、他店より値段を下げてはどうだろうか。」「ものが売れなくて在庫がたくさんある。安く売ろう。」など。モノの値下げが始まり、価格競争がうまれ、物価がどんどん安くなっていきます。
 簡単に説明すると、「需要=買いたい」人と「供給=売りたい」人がいて、「買いたい」人が急に減ると、世の中に「売りたい」人だらけになってしまいます。そうなると中には、「安くてもいいから買って欲しい」と言い出す人が出てきて、100円のものを80円で売る人が出てきます。この瞬間デフレが起こったということです。

 デフレが起きると、企業や個人が抱える債務(借入金)の返済負担が重くなります。モノの価格が下がり、売上や所得が減っても、返さなければならないお金や利息は減らないからです。こうなると企業や個人は、借入の返済を優先するので、投資や消費などにお金が回らなくなり、より一層、需要が減ってモノの価格が下がります。このように連鎖的に物価が下がる現象を「デフレスパイラル」と呼びます。
 デフレの問題は、「モノは安くなる(企業の利益は減る)が固定費は(人件費や地代)は変わらない」。よって、企業は利益を上げづらくなり、その反動が給与カットなどにもつながり、さらに消費が抑制され、さらにモノが売れなくなることにあります。
 しかし、メリットもあります。我々消費者にとって安くモノを買え、家計が助かる時期とも言えます。
 いずれにしても、「緩やかなインフレ」が一番よいと言われています。物価が上がれば、企業が儲かる(原材料価格が上がればもちろん製品価格も上昇する)。そうなると従業員の給料も上がる。そして物を買う。
 実は世界的に見ると「インフレ傾向」と言われています。中国を筆頭に経済成長が著しく、建築ラッシュ、鉄鋼価格、セメント、原油が値上がりし、人口増加による鉱物資源価格も上昇傾向です。このように全世界的には高度成長と人口増加が続いていますから、引き続きインフレ傾向が続いていくものと思われています。