住宅金融支援機構「フラット35」S(優良住宅取得支援制度)の金利引き下げ幅拡大の適用については、当初の想定を大きく上回るたくさんの申込があり、当初予定より3ヶ月前倒して9月30日で終了しました。8月の申込件数は3,000件。9月も駆け込み需要で申請数がさらに増えたものと考えられます。
この優遇策を使うと、利用者は当初10年間は年1%台前半と、民間銀行の3%前後より安い金利でローンを借りられました。三菱総合研究所の試算では、フラット35Sの金利優遇策は住宅着工戸数を年13万戸分も押し上げたそうです(10年の着工戸数の2割弱)。政府も住宅投資を下支えしようと、過去最大の住宅ローン減税、住宅を新築・改修する際に商品と交換できるポイントをもらえる「住宅エコポイント」なども相次ぎ導入しました。

 しかし、今後はこれまでの住宅優遇策は軒並み縮小される見込みです。10月以降のフラット35の金利の優遇幅は、借入当初の金利優遇がマイナス1%から、マイナス0.3%に縮小。住宅エコポイントも新築時のポイント数が半分程度に減る見通し。住宅ローン減税も今年から段階的に縮小されています。

 金融機関など民間住宅ローンにとっては追い風になるのでは?
もともと民間金融機関では各行とも住宅ローンに力を注いでおり、金利はもちろん諸経費などの引き下げ合戦も激化しています。(例えば福信の全国保証付10年固定金利を選択すると、各条件を満たせば、最下限金利は1.7%。しかし、この金利は各行とも横一線です)。

 「秋以降、この駆け込み需要の反動で住宅投資が低迷する可能性が高い」と見る関係者も多く、長引く円高・ドル安や日本経済の低迷も地価を下押ししそうです。今年の後半からの低迷が懸念される中、フラット35の金利が、0.7%優遇という情報もあります。いずれにしても、住宅需要を新たに開拓するには、耐震性など対策がカギとなるのではないでしょうか。