返済猶予も含めた貸出条件変更の努力義務を金融機関に課す「中小企業金融円滑法」が成立した。県は金融機関に対し資金繰りの要望などに柔軟に対応するよう要請したとのこと。
借り手救済、金融機関監視強化がねらいであるが、企業側からは安易に条件変更を申し出れば将来の融資に支障が出るとの見方も強く、実質的な救済につながるかどうかは不明で、同法の運用を巡り手探りの状況が続きそうだ。

【概要】
1.対象
借り手は中小・零細企業(大企業の子会社など除く)と個人。
貸し手は銀行や信用金庫、信用組合など預金取扱金融機関。

2.期間
2011年3月末まで

3.貸出条件
借り手の要請に応じて返済猶予、金利減免、返済期限の延長など幅広く変更。

4.不良債権基準の緩和
経営再建見通しがあれば不良債権には分類されない。従来必要だった経営改善計画の提出も最長1年間猶予。

5.行政の対応
2010年度にも金融機関に集中検査を実施。合理的な理由がなく条件変更を断れば行政処分の発動も可能性あり。

6.その他
金融機関は報告義務がある。又、金融機関が虚偽の開示・報告をした場合の罰則規定を設けた。

 中小零細企業や個人にとって、同法の成立は心強いが、ただ 借り手に不安もある。
前述したように、
一時的に資金繰りが楽になったとしても、将来借入する際に金融機関が態度を硬化させるのでは・・・
金融機関が連携し、貸出条件を変更するよう促すので、借り手の経営情報が金融機関に共有され、新規の融資が難しくなるのでは・・・
取引先に知られれば、経営状態を不安に思われる・・・等の懸念がある。

 結論として、返済猶予を申し出る企業は経営が悪化していることが多いので、返済条件を変更した場合、今後の新規融資の申込の際には審査を厳しくするのは当然であり、そうならないように金融庁は厳しく点検すると言っているが、最終的な融資判断は金融機関に委ねるということは頭に置いておく必要がある。