4月から消費税率が5%から8%に上がります。政府は低所得者への給付金や住宅・自動車購入などへの対策を実施します。それらの対策は、増税の影響をどの程度緩和してくれるのでしょうか。住宅購入は人生で最大の買い物です。住宅の土地部分 を除く建物には消費税がかかるので、何の対策もなければ、消費税率引き上げの影響は極めて大きいはずです。
このため、政府は昨年12月の経済対策で「すまい給付金」制度を創設しました。夫婦のみの世帯(妻は専業主婦)の場合、おおよそ年収五百十万円以下の人が住宅を購入する場合に十万~三十万円を給付する制度です。こうした対策による負担減と、増税分を比較すると、増税前と増税後に購入するのはどちらが有利なのでしょうか?
みずほ総合研究所が、
土地付き住宅のうち住宅部分が64%、
総額の六分の五を住宅ローン利用、
家族構成は夫婦のみ、または十六歳未満の子供がいる場合として、年収段階層別に試算しました。
六百万円のケースでは、住宅所得価格が三千六百万円、うち建物価格が二千二百九十五万円、住宅ローン利用額が三千万円の前提です。消費税増税分が六十九万円なのに対して、住宅ローン減税の拡充部分が五十八万円、すまい給付金がなく、差し引き十一万円の負担増になります。
一方、
年収一千万円では八十万円の負担減、
年収八百万円では五十二万円の負担減、
年収五百万円では二十八万円の負担増、
年収四百万円では九万円の負担減になります。
これは、すまい給付金は年収が増えるに従って減少またはゼロになり、住宅ローン拡充部分は年収にほぼ応じて増えるからです。つまり、低所得層と一部の高所得層は増税後の方が有利になり、中所得層では増税前の方が有利になります。
住宅に次いで大きな買い物である自動車はどうでしょうか。購入時の自動車取得税は、車両本体価格の九割に税率を掛けます。普通自動車は現行5%から3%に、軽自動車は現行3%から2%に軽減されます。保有するだけで毎年かかる自動車税は変わらないのに、軽自動車は十五年四月以降の新車購入から、七千二百円から一万八百円に増えます。どんな車を買うかで違いはありますが、自動車諸税の増額と消費税引き上げを合わせれば、負担増となるケースがほとんどです。とりわけ軽自動車は、公共交通機関が未発達の地方で、「足代わり」に使われているだけに、軽自動車税の負担増は家計に響きそうです。
消費税のような間接税は、低所得者ほど負担が大きくなります。そのための対策はどうなっているのでしょうか。住民税非課税の低所得者世帯(サラリーマンの夫と専業主婦、子供二人の世帯で、東京・大阪・名古屋など大都市圏での年収の目安は二百五十六万円未満)には、一人当たり一万円の「臨時福祉給付金」が支給されますが、これは一回きりです。
また、中所得者(年収二百五十六万円~九百六十万円)でも子育て世帯には、「子育て世帯臨時特例給付金」として、児童手当の対象の子供に一人一万円が支給されますが、これも一回限りです。
なお、低所得者対策の切り札とも言われていた軽減税率は、「税金10%時に導入する」ことで決着したようです。