平成25年3月31日で中小企業の資金繰りに多大な貢献をした金融円滑化法(返済猶予法案)が終了することとなっています。
既に新聞、テレビ、雑誌等で情報を聞かれ、経営者としては大変関心の高い話題となっていると思います。
マスコミでは、
・来年3月31日で金融円滑化法が終了
・金融円滑化法対象債権の中には不良債権予備軍が多い
というような話題で終始しており経営者の役に立つ情報とは思えません。
金融円滑化法により金融機関が返済を待ってくれるリスケジュール(一般的には、減額での対応を条件変更、元金据置すなわち全く返済をストップしてしまう対応を返済猶予と呼んでいます)という手法が当たり前となりましたが、金融円滑化法施行以前にも、リスケジュールによる資金繰り支援は存在していました。
そもそも金融円滑化法の目的は借入金返済を猶予している間にキャッシュを貯めて資金繰りの健全化を促すものでりましたが、同法が施行された平成21年9月から現在までにキャッシュを増やせた企業はどのくらいあるのでしょうか?
金融機関は、リスケジュールを企業より要請されると、その企業のことをかなり警戒するようになります。当初契約していた返済方法では返済ができなくなるということは、企業の業績が悪化しているということだからです。リスケジュールによって企業の当面の資金繰りは安定しますが、単なる応急措置に過ぎません。リスケジュールという大きなチャンスを貰ったものとして、企業は抜本的に経営改善に取り組まなければいけません。しかしながら、以後、金融機関から融資を受けることは相当厳しいと思われ、それに輪を掛けて景気の低迷がさらに深刻化している今日において、資金繰りの立て直しは容易なことではないだろうと思われます。
先日ある雑誌に、A社長とB社長の言い分が載っていました。
「調子の良い時にお金を借りてキャッシュを貯めておく。いざ必要となった時に慌てないためにもキャッシュを貯めておいた方が良い。今は金利が低い、金利分は銀行にお付き合いのつもりであげれば良い」とキャッシュフロー重視を唱えるA社長。
「いくら金利が低いといってもその分が収益に響くことは間違いない。今、必要がないのにお金を借りるのは無駄である。ましてやお金を借りたら必ず返さなければいけないことを忘れてはいけない」。と、身軽な態勢でいることが大切だと唱えるB社長。
両方の主張はどちらも正論で、どちらが正しいかと言われるとどちらも正しいのではないかと考えます。
さて、今の時代にA、B社長の主張のどちらが適しているのでしょうか。アンケートの結果はB社長の意見に近い人が多かったそうです。しかし、A社長の言うキャッシュの蓄えも重要であると思います。
金融円滑化法が平成25年3月31日で終了期限を迎えますが、それに備えて対策を講じている企業はわずかと見られ、倒産件数の増加が懸念されているのが現状のようです。