資金繰り改善マニュアル 【売上増加は資金繰りをきつくする】
売上が増加すれば資金繰りが楽になると思いがちですが、実は反対で、
売上が増加しているときは資金繰りはきつくなります。
うそだと思われるかもしれませんが、そうなのです。
もっとも、現金商売をしている会社は、売上が増加すれば入ってくる資金が
多くなりますから、資金繰りは楽になります。
しかし、多くの会社は売上を掛売で行っています。
掛売の場合は、売上が増加すると資金繰りがきつくなるのです、なぜでしょうか。
それは必要な運転資金が増加するからです。
つまり売上の増加に備えて、今までよりも多くの商品や材料を仕入、在庫を準備する必要があります。
このため、売上を現金として回収するまでの間、今まで以上の資金の立て替えが発生する
からなのです。
回転率で資金の動きを計算する方法は、次のとおりです。
- 1 受取勘定回転率
・受取勘定(A)は、売掛金や受取手形の合計
・売上高(B)
・B÷Aで、回転率がわかる。つまり1年間に何回入金するかがわかる。
・365日÷回転率=回収日数。→回転率で年日を割ると、回収日数がわかる。
事 例
・受取勘定(A)500万円
・売上高(B)6,000万円
・受取勘定回転率=B/A=12回→1年に12回の回収ということ。
・1回転の日数=365日/12=約30日=1カ月に1回(毎月入金)
- 2 商品(棚卸)回転率
・商品の在庫高、つまり棚卸高(C)
・売上高(B)
・B÷Cで、回転率がわかる。つまり1年間で商品が何回転するかがわかる。
・365日÷回転率=回転日数。→回転率で年日を割ると、商品を仕入れてから売れる迄 の日数がわかる。
事 例
・商品在庫高(C)1,000万円
・売上高(B)6,000万円
・商品回転率=B/C=6回→1年に6回の回収ということ。
・1回転の日数=365日/6=約60日=2カ月に1回
- 3 支払勘定回転
・支払勘定(D)は、買掛金や支払手形の合計
・仕入高(E)
・E÷Dで、回転率がわかる。つまり1年間に何回支払いをするかがわかる。
・365日÷回転数=回転日数。→回転率で年日を割ると、
商品を仕入れてから支払うま での日数がわかる。
事 例
・支払勘定(D)1,000万円
・仕入高(B)4,000万円
・支払勘定回転率=B/D=4回→1年に4回の支払いをするということ。
・1回転の日数=365日/4=約90日=3カ月に1回
この商店の資金繰りは
①入金必要日数=§1→1カ月 + §2→2カ月 = 合計3カ月
②支払必要日数=§3→3カ月 → 収入と支出は調和がとれています。
従って必要経費(人件費は運営費など)があれば、やっていけることになります。
売上が増加するということは、上記算式の「月商」が増加することです。
売上の増加は喜ばしいことなのですが、売上の増加を計画するときは、
資金面の準備も合わせて計画しておかないと、それこそ黒字倒産に陥ってしまいます。
次回は【在庫増は資金繰りを悪化させる】です。