福井県の地場産業である眼鏡枠製造の動向が報じられていた。昨年の業績はトータルでは減収増益であったそうである。

 中国製品との競争激化や消費の低迷、原材料価格の高騰などで苦戦を強いられた企業が多い。中国製品の攻勢で産地が縮小していくなか、眼鏡協会は福井メードの商品を消費者にアピールしていくため、アンテナショップを東京にオープンした。しかし、世界的な景気悪化や収入減による客単価の減少、買い替え期間の長期化等による販売不振から大手眼鏡小売チェーン店が軒並み店舗の閉鎖を加速させており、その影響から受注が減少し、生産調整のため雇用調整助成金を申請して週休3~4日の体制を余儀なくされている企業が増えてきている。

 今期の売上も前期比3~5割減と厳しい見方をする向きもある。しかし、支払手形の廃止や新素材・新商品の開発や新市場の開拓に積極的に取り組んで体質強化を進めている企業もあり、今後の取り組み如何では企業間の格差がさらに広がるのではないかと思う。このように産地を取り巻く環境は厳しさを増しており、眼鏡業界だけでなく、当面は厳しい舵取りを強いられるのではないか。

 とかく人間は昔が良い時代であればあったほど昔を懐かしみ、良き時代の再来を願いがちとなり、未来の展望が暗ければ暗いほど目をそらしがちとなるが、残念ながら我々を待っている未来の展望は必ずしも明るいものではない。それどころか全く異なる世界となる可能性の方が高いのではと思われる。

 暗い未来の中にも明るさが見えてくるよう、発想の転換が必要ではないか。