格付とは、
金融機関がつける成績表のようなものをいいます。
各金融機関は、
独自のスコアリングシート(得点表)を持っていて、
企業から受け取った決算書に点数を付けています。
金融機関の審査部では、
企業の全てを見ることが出来ませんので、
その点数によって企業を評価して、
融資をするかどうかなどを判定しています。
金融機関が行う企業格付は、
「定量評価」と「定性評価」で行われます。
今回は定量評価について説明します。
定量評価とは、
資本金や自己資本比率などの「財務指標」を評価して
換算するものです。
項目には、1.安全性、2.収益性、
3.成長性、4.返済能力などがあります。
1.安全性
(1)自己資本比率
数 式(%) 自己資本÷総資産×100
内 容 企業の安定性を示す
総資本のうち、
借入金や買掛金などの負債は
他人資本として区分されます。
残りの返済の必要のない資本を自己資本といいます。
一般に、自己資本比率が高いほど
負債が少ないことになり、
結果として借入金利の負担が少なく、
資金の返済期限がないため
資金繰りが楽である等の理由から、
健全な経営であると言われます。
一方で、少ない自己資本によって企業を設立し、
その信用によって他人資本を調達して経営を行うことは
「自己資本を有効に活用している」
ということになります。
過大な自己資本を調達するよりも
機動的な経営が可能となる点があるものの、
自己資本比率の低下は
負債(借金)の比率が高まることを意味しており、
資金繰りが苦しくなり、
金融機関の支援が得られない場合には
経営破綻につながることが多いといわれています。
(2)負債比率
数 式(%) (短期・長期借入金+社債)÷自己資本×100
内 容 資金調達のうち
借入金の自己資本に対する
大きさを示す
企業財務の健全性を見る指標の一つで、
企業の自己資本に対する
他人資本の割合を示す数値をいいます。
これは、返済義務のある他人資本が、
どれだけ返済義務のない
自己資本でカバーされているかを示し、
通常100%を下回ると財務が安定しているとされ、
この数値が低いほど
「借金の少ない会社」とうことになります。
(3)固定長期適合率
数 式(%) 固定資産÷(固定負債÷自己資本)×100
内 容 固定資産をどの程度「長期資金」
で賄えているかを示す
企業の資金源泉と資金使途の
適合状況を分析する際に使われるもので、
具体的には、
企業の固定資産が「長期の資金」
で賄われていることが望ましいとされます。
通常、本比率が100%以下であれば安全とされ、
一方で100%を上回っている場合は、
短期資金で賄われていることになり、
財務面で不安定さがあるといえます。
(4)流動比率
数 式(%) 流動資産÷流動負債×100
内 容 流動負債を流動資産が
どの程度カバー(即資金化)
できているかを示す
ここで示される流動資産とは
1年以内に現金化できる資産、
流動負債は1年以内に返済すべき負債のことです。
この数値が高ければ短期的な支払を行いやすく、
低いと短期支払にも長期の借入が
必要になるとされます。
(参考:流動資産-流動負債=運転資金)
(次回は「収益性」)
以 上