遺言の方法
では実際に遺言をするにはどの様な方法が有るのでしょうか?その方法を見てみましょう。
1.普通の方式(民法967条~)
2.特別の方式(民法976条~)
1.普通の方式(民法967条~)
「自筆証書遺言」
一番簡単で、費用もかからない方法。
遺言者が全文、日付、氏名を「自筆」で書いて、印を押せば終わりです。
遺言書が紛失する可能性もあります。
また偽造や変造、隠匿のおそれも否定できません。手軽でいつでもどこでも書けるため、有効か無効かで争われるケースも多いようです。
(参考)
自 書:ワープロ打ちは無効、介助されながらの自署は有効です。
日 付:日付は正確に特定できなければならないので、「平成15年5月吉日」は無効です。「70歳の誕生日」という書き方は日付が特定できるので有効です。
署 名:普通は本名でしますが、広く知られているならば芸名でも有効です。
押 印:実印でなくとも認印でも有効です。
「公正証書遺言」(◎お薦めです)
公正証書とは、公証人が作成した文書のことで、公文書としての効力を持ちます。
公正証書遺言をするには、まず証人2名が必要です。
証人2人を連れて公証役場に出向き、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口述し、公証人がこの口述を筆記します。筆記したら、公証人が遺言者と証人に読み聞かせるか閲覧させて、遺言者と証人が署名・押印して、公証人も署名・押印して完成します。
証人は、誰でもなれるわけではなく、成年者であることが必要で、推定相続人やその配偶者、直系血族等は証人になれません。
確実・安全であり、死後すぐに遺言の内容を実行することができます。
公正証書の原本は公証役場に保管されるので、紛失・変造の心配もありません。
デメリットとしては、遺言の内容を公証人と証人に知られる事くらいでしょうか。
「秘密証書遺言」~一切を秘密にしたいとき~
自筆、ワープロ、代筆も可。日付も不要。ただし署名・押印は必ず必要です。
完成したら、それを封筒に入れて、証書に用いたのと同じ印鑑で封印します。この封入・封印は必ず遺言者が行わなければなりません。
そして、これを持って証人2人と供に公証役場に出向き、公証人に提出して自分の遺言書であることを述べます。
そうすると公証人が証書の提出された日付と遺言者の申述を封書に記載してくれるので、遺言者、証人、公証人全員が封書に署名・押印して秘密証書遺言が完成となります。
作成方法を間違えると、法的には無効となります。
遺言の内容を、公証人にも、証人にも秘密にできるので、とにかく秘密にしたいという人は利用価値があるでしょう。
2.特別の方式(民法976条~)
危急時
一般危急時遺言:証人三人以上の立会い
船舶危急時遺言:船舶遭難時証人二人以上の立会
隔絶地
一般隔絶地遺言(伝染病):警察官一人及び証人一人以上の立会
船舶隔絶地遺言:船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会