国内でのビール売上が伸びなやむ中、メーカーは麦芽とホップを原料とするビールより
酒税率が低い発泡酒などの代替酒でその巻き返しを図った。
が政府はその税率を2回にわたり引き上げた。
BRICsの雄ブラジルでは、焼酎にガソリンを混ぜて車に飲ませる政策が進んでいる。
35年前から国家アルコール政策でサトウキビからエタノールを精製し石油代替エネルギーにしようと
してきた。現在ブラジル国内の自動車の80%以上はガソリンでもエタノールでもその混合でも走る
フレックス燃料車だ。
コンピュータのセンサーで混合物を検知して、燃料の供給量を調整するのだ。
よく車が酔っぱらわないものだと感心する。
ブラジル政府は、2007年度のサトウキビ由来燃料がエネルギー源に占める割合は水力発電による
電力の割合を超えたと発表した。
EUは、全燃料消費量中のバイオ燃料の割合を増やすこととし、ブラジルからの輸入枠を6%
引き上げることを決めた。
この様な流れの中、F1を統括するFIAは、2011年からのエンジンレギュレーションを
現在の2.4リッターV8自然吸気エンジンから、バイオ燃料を使用する2.2リッターの
V6ターボエンジンに変更をしたいと考えているようなのだ。
なるほどフェラーリは、デトロイトショーで、エタノール85%ガソリン15%の混合燃料である
「E85」と呼ばれる燃料を使用するF430バイオフェーエルを発表した。
パワーは(従来比)10馬力アップの500馬力。トルクも4%アップとの発表である。
ホンダがF1からの撤退を決めた背景には、このエンジンルールの変更が
全く関係なかったわけでもないのだろう。
スバルとスズキはWRCを、三菱はダカールラリーを撤退する。こんな寂しい話は聞きたくない。
住宅ローンを証券化して住宅の販売成績を伸ばしても、車の下取り価格を先取りし
残価のローンを証券化して販売台数を稼いでも、実体経済が伴わないところに成長があるはずがない。
魔法が解けて証券が紙切れに戻ったとき、そのあおりを食らってダメージを受けるのはまっぴらごめんである。
私たちはこれからどうなっていくのか、どうしていかなければならないのかは、
明確な政策があるのとないのとでは明らかに異なる。
経済は民間主導でなければならないことは同感であるが、政策は民間主導では立てにくい。
消費税率を引き上げ取りやすいところから税収を得ることも必要かもしれないが、
笑っちゃうぐらいにあきれはてられない様に、国としての政策もしっかりうち立てて欲しいものである。
【川中洋一】