天地創造の鉄学
宇宙で光と熱を放つ恒星は、内部で核融合反応が起こり様々な元素が作られている。
最も大量に作られたのが鉄だという。恒星は進化の最終段階で超新星爆発を起こす。
一斉に散らばった鉄は、岩屑などと交わりながら次第に集まり惑星になる
地球はまさに鉄の惑星
地球は、質量でいえば3分の1は鉄。
内部は高温で液体であるため、その溶けた鉄の対流によって磁場が発生する。
その磁場は地球表面に存在する大気が太陽風によって吹き飛ばされないように守っている。
その現象はオーロラとなって我々の前に現れる。
鉄の環境循環
地球誕生当時の海には大量の鉄が溶け込んでいた。
地球生命は海に豊富に溶け込んでいた鉄を使って生きることを選んだ。
その後海中にシアノバクテリアが登場し、バクテリアが光合成により発生した
大量の酸素と結合して酸化鉄となり、個体となって海の底に沈んで行ってしまった。
植物が鉄を取り込む
海底が隆起し地表に酸化鉄がむき出しになった。
植物は、根からムギネ酸と呼ばれるキレート剤を分泌し、個体の錆びた鉄を水に溶ける
状態にして 内部に取り入れる。動物は植物を介して鉄を摂取している。
人体の血液中に二十兆以上ある赤血球の中に、鉄を中心とした化合物とたんぱく質でできた
ヘモグロビンが、肺で酸素と結び付く。
血液が赤いのは、体内に酸素をくまなく運ぶために結合された鉄が錆びた色の「赤」なのである。
鉄は、酸素と容易に結びつくことが出来るため、運び屋として適任なのだ。
私たちは、鉄のおかげで酸素を体の隅々のまで行きわたらせ、体を自由に動かせているといえる。
この酸素の運搬に銅を使う生物もいる。その血液は青い。
細胞の中にいるミトコンドリアでは 酸素と糖質、脂肪を化学反応から
エネルギーを生み出す仕組みに一役買っている。
細胞では、鉄がなければ、エネルギーを生み出せないのである。
鉄不足になると酸素不足から、立ち眩みや目まいが生じる。
釘一本分3gの鉄が、5ℓの血液を支え、37兆の細胞のエネルギーを生み出し、遺伝子を作っている。
鉄は私たちの存在そのものにかかわる物質なのである。
吾唯足知
しかしこの鉄 体内にありすぎると、体が錆びさびになってしまう。老化してしまうのである。
どんなに必要なものであってもありすぎてはいけないのである。
【川中洋一】