始まる消費税の複数税率

いよいよ我が国でも、消費税の複数税率が導入されようとしている。消費税が平成元年に導入され、
税率が3%から段階的に引き上げられてきたが、複数の税率が導入されるのは初めてのことである。

お酒と外食を除く食料品に対して軽減税率を設ける。すなわち税率を低く設定するというものである。
食品であっても、お店で食べれば外食として10%が課税されることとなる。
食料品の定義が難しいものであるが、外食か否かの判断も困難である。

ハンバーガーシップや牛丼店など、持ち帰りと店内飲食では適用する税率が異なってくるわけだが、
レジで、「店内でお召し上がりですか? お持ち帰りですか?」と訪ねて店内だと外食として10%が課税され、
持ち帰りだと食料品としての8%の税率で課税されることになる。

客が、高い税率を嫌って持ち帰りだといいながら、店内で食べてしまった場合には、まさか、
店内でお召し上がりの不足分を追加請求することはできないだろうと思ってしまう。

・複数税率導入の先進諸外国の例を見てみると

ドイツでは、軽減税率は7% 一般は19%となっているが、ハンバーガーショップの持ち帰りの場合の消費税抜きの価額が、
店内での税抜き価格よりも高く設定指されており、どちらも消費税を含めた金額は同じになるように設定されている。
すなわち、「店内でお召し上がりですか? お持ち帰りですか?」と聞くのは聞くが、どちらの場合でも、
消費税込みの金額は同じというわけである。
支払う金額が同じであれば、あえて持ち帰りだということも無いだろうということだろう。

消費税額の計算も、帳簿方式からインボイス方式へ変更が予定されており、
実務的にますます煩雑になっていく。

税収確保にはいろいろな配慮が必要であるが、納税者がわかりやすい、理解しやすい税制とすることも必要だと思う。

 

(政策的な意図から、)
医療費や土地の貸付など0%の課税すなわち非課税とされてきたものもはあったが、
税率が0%で非課税であるが、

【川中洋一】