2011年3月11日午後2時46分、国内観測史上最大と言われるマグニチュード9.0の巨大地震と、それに続く大津波が東北から関東に至る地域を襲った。多数の尊い生命が失われた。東京電力の福島第一原発が地震と津波で深刻な事態に陥っている。コントロールを失う中、桁違いの放射能が観測されていて、発電所の施設に与えた被害は大きく、事前に想定される領域をはるかに超えるものだった。

 今回の事故の広がりは今後の展開にかかっているが、指針が想定した範囲を大きく超えた。これまでの考えは甘かった。東京電力は津波に耐える設計について「地震学的に想定される最大級の津波を数値シュミレーションにより評価し、安全性を確認しています」としている。それは間違いないだろうが、現実は全く違った。「大事故は起きない」という言葉が、これまで事故の怖さへの想像力を失わせていたのではないだろうか。このように報道されている新聞等が多くある。

 米国やフランス、オーストリアなど海外の機関はこうした予測を事故直後から独自にインターネットで公開してきた。「早く結果を公表すべきだ」という国民や専門家の声に押される形で、やっと公開に踏み切った。福島原発から20キロ圏内に住む人たちの一部が、当初、「ここを動きたくない」と言っていたのは、東京電力や政府の情報の伝え方がまずいからで、説明もないまま、突然、家を出ろと言われても納得できるだろうか?

 原発周辺ではすでに原子炉圧力容器や格納容器の中に閉じこめられているはずの強い放射能を帯びた水が、所内で漏れている。原子炉本体である圧力容器の中にある核燃料が高熱のため溶け、冷却水の中に出てきたとしか考えられない濃度だそうだ。圧力容器は、直接見ることが出来ず、温度や圧力の計測データーから状態を推測するしかないらしい。その数値を十分に分析して、たとえ悪い情報であっても、起こりうる事態をきちんと国民に伝えることが重要であると思う。米国は、はじめから廃炉の方向で支援に来ているのに、やっとここにきて(3月30日)、東電の会長が「廃炉にせざるを得ない」という謝罪会見を開いた。住民からは当然怒りの声が上がったことは言うまでもない。漏れ続ける放射能物質の行方、人体への影響の度合い、国民へのリスクの伝え方などについてさまざまな分野の「知」を集め、その時々で最善のアドバイスをしてほしい。

 これまで「原発の二大事故」は米国のスリーマイル島とソ連のチェルノブイルだった。こののちフクシマを含めて「三大」となるのは間違いないと思われる。

 日本はなにせ地震大国である。地盤の悪い立地を危ぶんだ「豆腐の上の原発」という表現もあるほどだ。「安全神話」が崩れた今、固唾をのんで最悪の回避を祈るほかない。

 ある評論家は、今回の原子力発電所の被災の問題は、今後日本の経済だけに限らず、世界経済にも大きな影響を与えることだろう。それに伴い、世界の多くの国は、エネルギー政策の見直しを迫られることも十分考えられると言っている。いずれにしても日本の経済の活動は低下し、景気はマイナス要因として働き、日本の産業界全体が痛手になることは避けられない。