損益と資金収支が一致しない3つの原因

この3つの原因を理解することが、

資金繰りの

管理のこつをマスターすることにつながります。

 

損益と資金収支が一致しない

1つめの原因は【時間のズレ】です。

 

1.時間のズレは、

売上と仕入の2つの場面で起こります。

 

・まず売上ですが、

会計上は商品を納入したときに売上が発生します。

一方で、

この売上が最終的に現金として回収されるのは、

現金売上の場合を除いて多くの場合は、

1ヶ月後とか2ヶ月後となり、

売上が発生したときは

まだ現金として回収されていません。

売上発生と同時に

資金収支がプラスされることはなく、

売掛金が現金として回収されたときはじめて、

売上と資金収支が一致することになります。

つまり、売上があったからと言って

即、現金が増えるわけではありません。

 

・同じように時間のズレは

仕入の場面でも起こります。

商品の仕入を行っても、

その商品が売れるまでは会計上、

売上原価は発生しません。

一方で、商品の仕入代金は多くの場合、

売上が発生する前にその支払期日が到来しますから、

先に現金が出ていく、

つまり資金収支がマイナスになることになります。

手元の現金が減るということです。

 

・整理すると商品の仕入を行った場合、

資金収支はマイナスつまり現金が減りますが、

会計上はまだ仕入は発生していませんから、

損益と資金収支は一致しないのです。

仕入の場面で損益と資金収支が一致するのは、

仕入後の商品が販売されたとき

はじめて一致することになります。

 

 

2.損益と資金収支は

一致しない2つめの原因は【借入金】です。

 

・借入を行った場合と、

借入金を返済する場合を考えてみます。

借入を行った場合、

当然資金収支はプラスに働きます。

一方借入は、

会計上は利益とはなりません。

つまり、

借入は損益上プラスにもマイナスにもなりません。

また、借入を返済する場合、

当然現金が減ることになりますから、

資金収支はマイナスに働きます。

 

・一方借入の返済は

会計上は費用となりません。

つまり

借入の返済は、

損益上はプラスにもマイナスにもなりません。

要するに借入とその返済は資金収支には影響しますが、

損益上はまったく影響しません。

つまり

資金収支と損益は永久に一致しません。

 

3.損益と資金収支が一致しない

3つめの場面は【設備投資】です。

 

・機械を購入したとします。

この購入代金の支払は、

資金収支に代金全額がマイナスに働きます。

一方で、会計上はその代金の一部、

つまり減価償却の部分しか費用として計上されません。

つまり設備投資を行った場合、

代金全額の現金が減ることになりますが、

損益上のその費用はその一部しか発生しません。

資金収支のマイナスの一部しかマイナスとはならないのです。

 

・また、

機械購入後は代金の支払はありませんから、

現金は減りません。

しかし、損益上はその後数年間は減価償却という

費用が発生します。

つまり資金収支はまったく変わらないものの、

損益上は費用が発生することになります。

 

・損益と資金収支は、

【時間のズレ】【借入金】【設備投資】の3つの原因で、

不一致になることを覚えておいて下さい。